さあて、降るか…と、ふと、薬師岳方面に目をやると、
 すさまじい突風の中、雪が舞い上がっている…ブリザード…っぽい。
 しかし、あれを突破しなくては車には戻れない…。

 根性で突破!するしかない…。
 一度は突破しているはずなので何とかなるはずだけれども…。

 いざ突撃。来るときもそうだったけれども、どこが正規の登山道か解らない。
 兎に角、風の少なそうなところを突き進む。

 薬師岳に戻ってきたときは、なんとも言えぬ、安堵感を得てしまったほど。

 そしてそして、樹林帯に入ってしまえばもうこっちのもの。
 ほっとしてSさんの入れてきてくれた暖かい紅茶を一人で殆ど飲み干す。

 南御室小屋に戻って、一息入れると小屋の人に挨拶して、
 一気に降りにかかる。

 途中、空を仰ぎ見ると、樹間から冬の陽が柔らかく差し込んでいた。
 ホント、晴れてよかった…。