屋久島―そこは幼少の頃から耳にした神秘の島だった。

 自然に触れることの少ない都会の子供だった自分にとって、
 独特の植生、樹齢何千年の屋久杉に覆われ、
 屋久鹿、屋久猿の跋扈する屋久島はまるで想像の付かない憧憬の地だった。

 その後、この南の小さな森の島が、
 海を抜くこと2,000m近くにまで達する洋上アルプスであることを知ると、
 その神秘性への憧憬はますます強くなった。

 2005年の8月半ば…
 自分はぽっかりと穴の開いたような5日間の休暇を得た。
 5日間…日本アルプス縦走か、飯豊山地縦走か…
 しかし、何れも天気は最悪の見通し。

 そこでふと浮かんだのが屋久島だった。


 …って休みは明日からだ!!急げ!!
 
 翌日、自分は羽田空港にいた…。
 昨日の今頃はまさかここにいるとは思ってなかった…。