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会津駒ケ岳
[あいづこまがたけ]/【南会津・尾瀬】
残雪が作る山腹の模様から命名。深田久弥は『日本百名山』の中で、残雪の山全体を駒の走る勢いに見たのではないかと述べている。しかし、大抵残雪に由来する山の名前には納得がいかないものが多い(その容に見えない)ので、深田の説を真の由来と決め付けるわけには行かない。昔の人は、残雪の形に駒を見たのかもしれない。




小峠より残雪の会津駒ケ岳稜線(6月初旬)


会津朝日岳
[あいづあさひだけ]/【南会津・尾瀬】
この山のふもとにある白沢集落の阿弥陀堂から見ると山頂部が朝日に輝いて見えるために命名された。




叶の高手付近より会津朝日岳(6月初旬)


間ノ岳
[あいのたけ]/【赤石山脈北部】
白峰三山のうち北岳と農鳥岳の間に位置することから命名された。



杖立峠付近より間ノ岳(12月末)


赤牛岳
[あかうしだけ]/【飛騨山脈北部】
山肌がやや赤みを帯び、また、山容がゆったりと寝そべっている牛のようであることから命名された。




黒部湖より赤牛岳(5月初旬)


赤城山
[あかぎやま]/【那須・日光】
昔、日光男体山がヘビに、赤城山がムカデに化身して戦ったところ、ヘビが負けそうになったので、弓の名人黒麿(くろま)に助成を頼んだ。ムカデは、黒麿の弓で血を流しながら山へ帰ったところ、山が血で赤く染まった、と言う伝説による「赤き山」から命名された。

赤石岳
[あかいしだけ]/【赤石山脈南部】
この山を形成する岩が赤いために山全体が赤く見えることからこの名前がついた。

秋田駒ケ岳
[あきたこまがたけ/【]奥羽山脈北部】
山腹の残雪が馬の形になるので命名された。

浅草岳
[あさくさだけ]/【越後山脈】
豪雪地帯にあり、山頂には高い木のが育たないので、草ばかりが育ってしまうことから、浅い草の山ということで浅草岳となった。




会津朝日岳人見の松付近より浅草岳(6月初旬)


浅間山
[あさまやま]/【苗場山・白根山・浅間山】
馬来(マレイ)語で煙を表すアサッに由来すると言う説がある。富士山に浅間が祭られているのも富士山が火山であるから。



トーミの頭の手前より浅間山(2月中旬)


足柄山
[あしがらやま]/【箱根山・伊豆半島】
アシは馬来語のアサッ(煙)から来たもので、ガラは荒れるという意味であることから、富士の噴火で灰や煙で荒れた山と言う意味である、と言う説があるが、小暮理太郎は「容易に主是し難い」と述べている。

阿蘇山
[あそざん]/【阿蘇・くじゅうとその周辺】
日本書紀によると景行天皇がこの地に来た折、誰もいないので「誰かおらぬか?」と呼びかけてみたところ、「ここにおります」とアソツヒコ、アソツヒメの二神が現れたと言う。この二神のアソが山名になった、と深田久弥は紹介している。しかし、馬来(マレイ)語で煙を意味するアサッが転じたとする説の方が、浅間山の由来と照らし合わせて鑑みるに信憑性が高いと思われる。

[あずまやさん]/【苗場山・白根山・浅間山】
山の形があずまや(庭園などにある壁の無い建物)の屋根に似ているから。日本武尊が東征の際、自分の妻が恋しくなって「吾妻よ」と言ったことに由来する説もあった筈。



水ノ塔山より四阿山(2月中旬)


吾妻山
[あづまやま]/【奥羽山脈南部】

四阿山同様、日本武尊が東征の際、自分の妻が恋しくなって「吾妻よ」と言ったことに由来する説もある。その漢字からみても、四阿山よりも信憑性がありそうだが、いくつもある吾妻連峰の一峰に家形山があることから、やはり、建物の東屋から由来しているのではないか、との説もある。




鎌沼より東吾妻山(10月中旬)


雨飾山
[あまかざりやま]/【妙高山とその周辺】
雨(天)を祀った山であるから、と言う説以外に、アマ火山(この場合のアマは何であるか不明)を聞き誤った、と言う説がある。古くは、天飾、もしくは、天粧とも書いたというから、「雨」は本来、「天」だったのだろう。

甘利山
[あまりやま]/【赤石山脈北部】
元正天皇(在位715-724)の時代に、地方行政改革として、里を郷と改めた。一つの郷で千戸とされ、余った戸数を余部(あまりべ)郷として別郷とした。甲斐巨摩郡にも余部郷が出来、後に郷が荘となり、甘利荘と呼ばれるようになった。この甘利荘の裏手にあったので、甘利山と名付けられた。



奥甘利山付近より甘利山(11月初旬)



荒船山
[あらふねやま]/【関東山地】
山の形が船のように見え、その船が丸で荒海を行くような様であることから命名された。船の艫にあたる部分には艫岩がある。

有明山
[ありあけやま]/【飛騨山脈北部】

天照大神が弟の須佐之男命の暴力に耐えかねて、天の岩戸に隠れてしまい世の中が真っ暗になってしまった。しかし、外を少し窺い見たところ、手力男命に引っ張り出されてしまった。この際、勢い余って天の岩戸を投げてしまい、落ちたところに山が出来た。その一つが、戸隠山であり、もう一つが有明山である。山名はこの伝説に由来しているらしい。天照大神が天の岩戸から外を窺ったときに、光が漏れた…という辺りから来ているのだろうか。


荒海山
[あらかいさん]/【南会津・尾瀬】
荒は新、海は開がもと。新開山は、新しく開墾された山と理解できる。舘岩村、桧枝岐村近辺は平家の落人部落として有名であるが、彼らが開墾したのだろうか。

粟ヶ岳
[あわがたけ]/【越後山脈】
一説によると、粟の神であるイザナギを祀ったことによると言う。ちなみに粟の神とは海神のこと。

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