昔、この山の山頂に池があったと伝えられており、その池でこの山に住む姉妹の神が、どちらが先に蓮の花を咲かせられるか、と言う競争をした。ある朝早く、妹が起きてみると、姉の蓮が咲いている。負けん気の強い妹はその蓮を折ってしまった。これを後から起きてきた姉が見つけ、怒って妹を追い出してしまった。追い出された妹は、北に向かい飯豊山に住み着いた。と言う伝説が残っている。しかし、この話には諸説があって、その中の一つに、蓮の花を咲かせる競争は別の山で行われ、負けたほうが山を出て行くというものがある。この話の場合でも、姉の蓮が先に咲き、妹が折る、と言う筋だが、姉はそれに気付かず、負けたと思って山を去ったとなっているから先に紹介したものとは、反対の結末である。さて、山名の由来だが、妹に騙されて山を去った姉が、この山の山頂にやってきて、どこに住居を定めようか、思案したことに由来すると言う。その後、飯豊山に住居を定めたと言う点では、2つの話は共通している。ちなみに、千夜ノ岳[ちやのだけ]という別名もあり、この[ちやの]を測量官が誤って[しあん]と聞き取ってしまったと言う説もあり、『コンサイス日本山名辞典』ではこちらを山名由来として紹介している。 |