霊峰に妖雲帯びて…
2002年9月中旬
月山山麓より鳥海山

CANON IOS KISS V

 鳥海山の夏は短い。
 9月も半ばになると小屋閉めが始まり、早い年には、9月のうちに初冠雪ヶ見られる。
 夏には天国的な様相を見せる鳥海山も、この頃は、地獄的な薄暗い様相となる。
 自分が訪れたのは、ちょうど小屋閉めの数日前のどんよりと曇った日で、
 賽の河原、七三掛、大物忌神社と言うその名のとおり、不気味なものに感じながら登った。
 新山の累々と積み重なった大石を攀じている時に至っては、
 本当に今、自分はこの世にいるのか、疑りたくもなった。
 そんな自分の鼻先を濃い霧が強風に流されて過ぎていった…。