目指す鷲羽岳が逆光の中、白雲に輝く。
 もう少しだ…、と思い、上を仰ぎ見ると、遥かに上に三俣山荘が見える。
 と、遠い…。

 

 しかし、それほどの苦労もなく、三俣山荘着。
 去年もここから鷲羽岳を目指した。
 今年も…行くぞ!

 …で、あっさり山頂…。
 急登と言っても、一度登った道は先が解っているから楽だ。
 この道は、案外、楽なのだ。

 

 景色は、やはり最高!
 前回は、久しぶりの登山で、それで、感激したのかとも思ったが、
 今回登ってみても、この山からの眺望は最高のものだった。

 山岳眺望の優れていると言うのは、
 近くに巨大な山が迫って見えるということが第一。
 海だの平野だのが見えてもそれは、奇異な眺めと言うだけであって、
 真に山岳眺望が優れていると言うのとは違う。

 高い山に登って、競うように肩を並べる近くの巨大な山を見ること。
 それに我々山岳愛好家は、無上の喜びを感じるのではないだろうか。

 (…と、小暮理太郎の理屈をぱくって見る…。)

 それにしても、この鷲羽岳と言うのは、そういう意味においては、
 全く持って非の打ちどころのない山である。

 水晶、黒部五郎、薬師、三俣蓮華〜双六岳の連なり、
 そして、槍ヶ岳…いずれも、これほど綺麗に見れる場所は他にあるまい。

 

 ただ、今回は、槍の穂先が見えた程度。
 いよいよ雲は多くなり始め、天気が崩れてきたことを感じさせる。

 

 三俣蓮華も雲に覆われ始めているが、
 雪渓の白、岩肌の灰色、草地の緑のコントラストが鮮やかで気持ちがいい。