山頂から下ってカールの中を歩いていると、
 横を黒部川源流の一支流である五郎沢が雪渓の下から奔出しているのが見える。
 源流と言うともっと細々とした流れを想像していたのだけれども、
 ここはもう奔走する黒部の激流の面影を感じさせる。
 この雪渓の下が黒部川の最初の一滴を生じさせ、
 やがて、大河となって海に注ぐのだ…。

 

 雨を吸って重くなったザックを背負って、
 なんとか、黒部五郎小舎に辿り着く。
 テントはもうやめ。小屋泊だぁ…。

 この山小屋、山間の標高2,350メートルに位置し、
 何となく、山に遮られて眺望が悪そうだけれども、
 案外、色んな山が見える。

 テント場の向こうに見えるは、笠ヶ岳。

  

 もちろん、薬師岳もでかい図体を我々に見せてくれている。

 

 黒部五郎岳も…。

 

 さて、小屋はというと、なかなか綺麗な建物で、食事も◎。
 翌日は、雨と言うが、前日の不眠からそんな不安もなんのそので、
 ぐっすりと眠ってしまう。

 起きて、窓外を窺ってみると、何のことはない。
 青空が広がっていて、登山日和。
 この分なら、鷲羽岳に登ってもいいだろう。

 と言うわけで、大方の人が三俣蓮華岳を目指す中、
 三俣蓮華岳を巻き、三俣沢を渉るコースを選択。
 このコースは清廉な三俣沢のせせらぎと、白銀に輝く雪渓、
 それになんと言っても、高山植物のお花畑が見事。
 人も少なくて◎。