そして、北ノ股岳。
 稜線上の何となく盛り上がった山で、見るからに存在感がないが、
 お花畑の美しいこと、眺望の雄大なことにおいては第1級の山といえる。

 

 山頂からは鷲羽、大天井、三俣蓮華など。
 霞んだ空気の中に淡いシルエットを浮かべている。

  

 ここを過ぎてからはどんどん目指す黒部五郎岳の姿が大きくなっていく。
 ところが、今まで良かった天気が徐々に崩れ始めた。
 黒部五郎の山頂も雲に隠れることが多くなってきた。

 気は急くが、山頂はまだまだ先。
 天気が持ってくれるように祈るように先に進む。

 

 危険マークのついている中股乗越を通過。
 余りにも安全な普通の道なので、危険マークの意味は良く解らない。

 そうこうするうちに、眼前に急斜面が広がった。
 これを登れば…。

 登りきると山頂へ行く道と、黒部五郎小屋に行く道に分かれる。
 この分岐に荷物を置いて山頂を目指す。
 ちなみに、このときには既に霧は辺りを覆いつくし、
 今にも雨が降りそうな状況。

 しかし、山頂まで往復20分。
  大丈夫だろうと、ザックカバーもかけずに荷物を放置。
 雨具も持たずに山頂へ。

 が…ほんの数分で雨が降り始め、山頂についた頃には、
 結構降っていた。

 何とか、山頂で記念写真だけ撮って、
 急いで荷物の置いてある分岐点に引き返す。

 

 ザックは見事にびしょ濡れで、たっぷりと雨を吸い込んでくれている。
 重量も重くなった…。

 下山途中、雲の切れ始めた山頂を仰ぎ見る。