そして、いそいそと下山にかかる。
 降り積もったばかりの新雪に時折足をとられ、前にのめりながら、何とか進む。
 最後の一息と言うところで、登り返し。この先が登山口。

 

 この先は更に新雪が柔らかい。
 皆、スノーシューを履いて登ってしまうから雪が固まらないのだろうか。
 ひどい時には、膝上まで潜ってしまう。
 頑張って足を上げて、のそのそと進んでいく。
 そして、何とか、登山口着。

 

 ここでアイゼンを取って目出帽もとってしまう。
 目出帽を取ると急に周りの風の音が耳に飛び込んでくる。
 被っている間は、後ろから来る人の気配にも気づかないほどだったのに…。

 準備を整えて、雪上車の待っているスキー場の駐車場に向かう。
 が、道路の上も凍っていて、思うように歩けない。
 時折、バランスを崩す。
 アイゼンを外してしまったのは失敗。
 でも、さほど遠くはないので、そのまま歩く。

 

 黒斑山を振り返り、仰ぎ見る。
 トーミの頭からみるとあれほど突兀としていた黒斑山だけれども、
 したから見るとなだらかな山容を見せる。
 そのギャップは改めて、黒斑山が大きな火山の外輪山であることを思い出させる。