やがて、ポツーンと1本だけ背の高い松の木のはえているところに着く。
 人見の松と呼ばれるもので、この辺で北面の眺望が開ける。
 その景色の中で一際目立つのが西に鬼ヶ面の絶壁を従えて、
 どっしりと腰を下ろしている浅草岳である。
 この山も、いつかは登りたい山である。

 

 ここを過ぎて、少し行くと叶の高手と呼ばれるところに着く。
 2本のオオクロベと会津朝日岳の断崖絶壁の眺望が優れているので、
 有名な場所である。

 

 それにしても凄い絶壁だ…。
 どうやって登るんだろうと思っていると、
 「あの真ん中の雪渓を登るんだよ」
 とおっしゃる。

 え…真ん中の雪渓って…落ちるよ…。
 「あー見えてそんなに角度はないよ」
 とのこと。信じます。
 地図やガイドブックによれば、
 あの絶壁の向こうに素晴らしい景色が広がると言うので、
 頑張って登るしかない。今回は、ピッケルだって用意した…。

 そして、更に進んでいく…
 あ、そうそう、この近辺、何故かこの時期にカタクリが見ごろ。
 その他にも色んな草花に蝶が舞う。
 2週間前に会津駒ケ岳に登ったときには、
 まだまだ冬の名残が強く感じられたのに、もう今は春真っ盛り。
 夏も程遠くないことを感じさせる。

 途中の池でモリアオガエルとその他の不思議な卵を発見。
 いまだ正体不明…。

 その先の雪渓を越えると熊の平非難小屋。
 ここから少し歩くと、あの岩壁の雪渓である。